Maishin

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発達障害者は結婚しないで子ども作らないで に当事者親として考えたこと

こんにちは! くずなつ (@kuzunatsu) です。私は来年年少になる娘がいるADHD当事者です。

ツイッターの発達障害クラスタで話題になってから一週間くらい立っていて完全に乗り遅れていますが、発達障害者が親になるときに必要だと思うことという普遍的な趣旨を含むのでアップします。

きっかけは発達障害者への中傷のリツイート

最初に一枚の画像がリツイートで回ってきたときは、大分モヤモヤしました。

発達障害者は結婚するな、子どもを作るな、ひきこもれという文章が送られてきたという内容でした。

発達障害持ってるのに婚活?

発達障害は代々遺伝するんですよ?

あなたの家族や親戚も発達障害遺伝子持ってるからこそあなたがADHD、ASDなんですよ。

お願いだから子供作らないで。

結婚しないで。

不幸な発達障害者を増やさないで。

発達障害者は、知らず知らずに社会に出ると周囲に迷惑垂れ流してるんだから、死ぬまで一生ひきこもりにーとしてください。よろしくお願いします!

https://peing.net/q/6335f801-c144-4467-b7c8-80d0e02a1a4c

※ 被害を受けた方に意見する意図はないので、中傷の本文のみ引用します。

はじめて見たときは、他責的すぎる、万能感全開の中傷文に思えました。この文章を書いた自分が恥ずかしいと思えない時点で、子どもなら中二病、大人ならマジ○チです。

いくつか反射的にツイートしてしまいましたが、冷静になってから投稿されたサイトの対象年齢や使われ方などを調べて、また文体からも、子どもがしたことだろうと推測しました。何となくですが小学校高学年~せいぜい高校生までの女子という気がします。

大人のマジ○チはいなかったんだ……という意味で少しホッとしました。

もちろん被害に遭われた方はお気の毒です。見たところネット慣れされている方のようで、上手な対応だなぁと感心しました。勉強になりました。

冷静になって見えてきたこと

冷静になってから見えてきたことがあります。

不幸な発達障害者を増やさないで。

と書いていることから、書いた本人が不幸な発達障害者、もしくは自分が発達障害ではと思っている不幸な人と読むことができることです。

知らない人に中傷を送ることができるほど無神経な人が自分は定型だと確信していたら、「不幸な発達障害者」なんて書くでしょうか。ここには発達障害当事者の視点がありそうです。

そこから、発達障害の親を持つ発達障害の中学生の女の子だとしたら文章に一貫性が出てくるなぁと妄想していました。

発達障害者は、知らず知らずに社会に出ると周囲に迷惑垂れ流してるんだから、死ぬまで一生ひきこもりにーとしてください。

そう思って見ると、この一文は彼女が周囲から言われていることのアレンジなのかもしれないね。人を傷つけようと思ったときに感情的に選ぶ言葉って、自分が言われて傷ついた言葉じゃないかな?

妄想です

成長過程で「自分が生きている意味は何か」「何のために自分は生まれてきたのか」と考えるのは定型・非定型関係なく誰もが通る道です。

その時期に自分が発達障害であることを知って、それが親からの遺伝であると知ったら、「両親が結婚しなければ、子どもを作らなければ、私の今の苦しみはなかった」と考えるのは自然なことです。

しかも親も発達障害だから共感性が低くて、話が通じない。自分も人とうまく話ができない、だからインターネット上で色々見て回った。

そんな中で発達障害を公表して婚活している方に対して「なぜ遺伝する可能性があるのに結婚しようとしているのか」「結婚するということは子どもを作るつもりか」「私のような不幸な子どもを増やすつもりか」と憤ったのだとすると、気持ちは理解できます。

※ 念のため、私は「発達障害を公表して婚活している」ことには中立です。私は発達障害だけれど結婚しているし、個人の自由です。もしもこんな状況の子どもがいたとしたら、やったことは絶対にダメなことだけれど気持ちは理解できるという意味です。

中傷ではなくて素直に質問すれば良かったんですね。進んで質問を受けていらしたのだから、たとえば「私は発達障害の中学生です。もしあなたに子どもができて『発達障害がママから遺伝したせいで私は不幸だ。産まれてきたくなかった』と言われたらどうしますか?」と質問するのなら問題なかった。大人の発達障害者に意見をたくさん聞いてみれば良かったんです。答えに納得できるかはわからないけれど。

でも、こういった書き方は悩んでいる最中の中学生にはできないでしょう。思い詰めた親への思いをそのまま知らない人に送ってしまった状況ではないかと想像しました。

私が娘に言われたらどうするか

こういった話は、私が娘からされる可能性があります。もしも娘に答えるとしたらこんな感じかな、という話。

「発達障害がママから遺伝したせいで私は不幸だ。産まれてきたくなかった」

これについては、遺伝させた私が何を言ってもムダで、話を聴いて謝るしかできないです。

この言葉を言うところまで思い詰めている状況の娘から見たら、私が何を言っても、産まれた理由は私のエゴにしか聞こえないでしょう。

今なにを不幸だと思うのか、気持ちをひたすら聴いて、落ち着いたらどうしたいか、どうして欲しいかを聴いて、今できることを一緒に考えていくくらいしかできません。

娘に発達障害が遺伝しているかは今のところわかりませんが、遺伝していなくても中高生のころには同じようなことを言い出すと思うし、これに対応したくて心理学やカウンセリングの勉強をはじめたところがあります。

何も勉強していないよりは役に立つはず……立って欲しいです。

今思ったけれど、親に言えるならその家庭は健全ですね。ネット上で見ず知らずの人を中傷している時点で、親に言えないような状況なのでしょうか (妄想です) 。

娘は私に直接言ってくれるように育ってほしいです。

(妄想上の) この子も私のところに来てくれれば多少は相手できるのにな。ブログのネタにはするけどね。

子どもの話を聴くことについて、この本がとても勉強になりました。と、私は悪くてセコい大人なのでアフィリエイトリンクを貼っておきます。

親として子どもの話を聴く具体例が載っているので、子どもの話を"聴く"ことがイメージしやすいです。この本を読んで傾聴できるようになりたくなって習いに行くことにしました。

「なぜ結婚したのか」

これは正直に答えるだけです。

パパは、私が人生で一番つらかった時期を支えてくれた大事な人。パパは私の良いところもダメなところもよく知った上で今も支え続けてくれている。

普段は支えてもらってばかりだけれど、パパに万が一何かあったときに、もしかするとママが支えられるかもしれないと思った。そのためには結婚していた方が日本の法律上色々便利なので結婚した。

あと匂いと声が好きだし一緒にいて安心するから、単純に近くにいたい。というかぶっちゃけた話パパが大好きだから。

「なぜ私を産んだのか」

これも正直に答えるだけです。

元々子どもを作るつもりはなかった。

私の発達障害が遺伝したら申し訳ないし、私に親になることができるキャパシティがあると思えなかった。私は親に虐待されて育ったので虐待してしまうかもと不安に思っていた。

パパもこの妻では子どもは無理だなと、欲しいけれどあきらめていたそう。

パパと一緒に住んでしばらくして、もし子どもを産んだとしたら育てるのは二人で協力できることで、この人がパパなら今の私なら何とかなると確信を持ったので、二人で話し合って決めた。

子どもを欲しい気持ちが私の中で生まれたのは、パパと一緒に暮らして、パパとならママが育った家族とは違う形の家族を作れると思ったから。家族が増えたら今よりもっと楽しいだろうなと思えるようになったから。○○ (娘) が家族になってくれてから、すごく楽しい。産まれてきてくれて良かった。

ちなみに、パパとママは「ママが○○ (娘) におかしいことをしていたら指摘すること」「ママがどうしようもない毒親になったら○○ (娘) を連れて逃げること」を約束している。

○○ (娘) も、私がおかしいと思ったら、ママに直接言うか、もしもママに言いづらかったらパパに相談してね。

発達障害であることを子どもに言う必要があるのか問題

ここまで書いてやっと思いいたりましたが、そもそも娘にカミングアウトするかという問題がありました。

個人的には娘が診断を受けない限り、言う必要はないと思います。

状況によって変わってくると思いますが、娘の悩みをむやみに増やす必要はないと思うからです。

もしも娘が診断を受けることになったら別です。娘が診断を受け入れるために私が発達障害であることを伝えること、私が娘の怒りを受け入れることが必要になるはずです。

娘には「なぜ私を産んだのか」「ママの発達障害が遺伝したせいで私は不幸だ」「産まれてきたくなかった」と私に怒る権利があります。

そこで十分に怒らないと、凹凸をどう生かしていくかという前向きな発想にならないまま自己肯定感が下がっていくと思うのです。

誹謗中傷する子に育って欲しくない

話は代わりますが、そもそも娘が見ず知らずの人に誹謗中傷を送る人間に育ったらすごく悲しいです。

でもインターネットから切り離した生活はムリですよね。使い方を教える必要があります。トイレや箸や自転車を一緒に練習するのと同じことです。

はじめて娘にスマホを持たせるときは私から貸す形にして、やり取りをチェックするのを当たりまえにした方が良いんだろうなぁ。

これはプライバシーとか毒親とか関係なく、親としての責任の話です。むやみに禁止はしないけれど、子ども本人が自分の言動に責任を取れないうちは見守る必要があると思います。

もし娘のスマホを見て今回のような書き込み履歴が残っていたら、娘に見えないところで失敗したと泣いたあとに精神科に一緒に行くかな……。

まだスマホを持たせるには時間があるので、考えていくべきところです。

まとまらないまとめ

中傷文を書いた人は「発達障害の親を持つ発達障害の子ども」に見えたことからの妄想でした。ほかの背景を想像すると、私には一文一文がうまく繋がらないのです。

もしもどなたか一貫性のある他の人物像を考察できる方がいらしたら、ぜひ教えていただけると幸いです。

親にも誰にも苦しんでいることをわかって貰えない子どもの悲鳴だったらつらいなと心がザワザワしてしまっています。

この件について発達障害の方々のブログやツイートを拝見した範囲では、書き手は大人であることを想定したいわゆるマジレスが多くて、それならスルースキルを試されている状況なので、マジレスは発達障害の特性が出ている気がする……と感じたことから冷静になって見直して、そのあと自分の妄想に暴走している感があります。

というかこれもマジレスです。踊っています。

中傷するのは絶対にダメなことです。

ただ、発達障害が遺伝するのはもう一般的な知識なので、発達障害者が子どもを作ったら「ママ (またはパパ) から発達障害が遺伝して、私は不幸だ。産まれてきたくなかった」と子どもから言われる可能性から目をそむけることはできません

結婚はともかく、子どもが欲しいと考えている発達障害の方は、そのときどうするかを考えておいた方が良いのかなと思います。

子どものころ、発達障害であることがわかったころ、つらい思いをしたときに「私は産まれてきたくなかったのに」と考えましたよね。

そのときに親がどう動いたかはすごく大事なことに思えます。私はこのあたりの気持ちを雑に扱われたので、親になった今、娘には同じ思いをさせたくありません。

またこの私の気持ちが娘にとって重いかもしれないけれど、そこは夫がストップを掛けてくれると信じています。

それでは!